ジョイ・コガワ&高山宙丸 朗読パフォーマンス(日系人強制収容75周年記念イベント)

日系カナダ人作家のジョイ・コガワ(Joy KOGAWA)さんと詩人の高山宙丸さんによる合同朗読パフォーマンスが行われました。(2017/05/11、バンクーバー日系人会館)

 

 

「語ることのできない沈黙がある。語ろうとしない沈黙がある。」

ジョイ・コガワには『Obasan(おばさん)』という作品があります。

 


Obasan

 

1983年アメリカン・ブック・アワード受賞作で、ジョイ・コガワが自身の経験を元に書いた物語です。第二次世界大戦中における日系カナダ人の土地明け渡し、移住、分散のストーリーが描かれています。

 

この『おばさん』から想起されたイメージを元に演じられた高山宙丸という詩人による一人芝居と、コガワ自身の詩の朗読によるパフォーマンスが行われました。

 

ジョイ・コガワの朗読

 

一人芝居・朗読パフォーマンス『Silence 沈黙』

日系カナダ人が語ることをせずに沈黙の中に封じ込めてきた歴史とそれにまつわる感情。高山は一人芝居の中でその沈黙を風船に例えました。初めは腕の中に収まっていた風船が次第に大きく膨れ上がっていき、やがてその人を圧迫し始めます。しかし、その風船が破られた時、中から生まれてきたのは「自由」でした。

 

「日本人」には多くを語らない文化が根付いていると言われています。その文化を継ぐ日系カナダ人も、戦時中のカナダにおける日系人の強制収容の歴史について沈黙を守り続けてきました。しかし、ジョイ・コガワは言いました。「沈黙をすることで逃避してはなりません。謝罪と補償を求める訴えを語るのです。そして同じように、日本人が朝鮮・中国を始めアジア諸国で犯してきた罪から逃げ出してはなりません。否定をしたくなりますが、否定せずに責任をもつのです。

 

同様の話をカナダの日系人高校生に向けてジョイ・コガワが語った映像がYouTubeに上げられていました。

 

私は彼女の作品をまだ読んだことがありません。原作は英語ですが、美しい日本語に約されたものもあると紹介されていました。この方の語る物語を読んでみたいと思います。

 

 

追記

カナダ・バンクーバー在住の日系人・日本人向け新聞『バンクーバー新報』(2017年5月18日 第20号)に当日の記事が掲載されたようです。