東京のフィリピン・コミュニティ『リトルマニラ』竹ノ塚駅周辺(東京都足立区)の地域調査

東京で、フィリピンから来た人たちがコミュニティを形成している地域といえば東武伊勢崎線(スカイツリーライン)の竹ノ塚駅周辺です。

 

 

 

『リトルマニラ』とも呼ばれるこの地域は、東京都足立区に位置し、フィリピン・パブが多数出店しているほか、いくつかのフィリピン料理レストランや雑貨店(サリサリストア)が集まっています。

 

 北千住駅から10分ほど。

 

竹の塚と外国人住民

竹ノ塚駅の東口。巨大な集合住宅(UR賃貸)が目の前に現れる

 

竹の塚には、UR都市機構の賃貸住宅(団地)が複数あります。

 

足立区の統計によれば、竹の塚の中でも外国人住民が集住している地域は以下のとおり。

  • 竹の塚一丁目
  • 竹の塚三丁目
  • 竹の塚四丁目
  • 竹の塚六丁目

 

足立区HPより筆者が作成(https://www.city.adachi.tokyo.jp/koseki/ku/aramashi/toke-machi-r020301.html)

 

UR団地のある地域の外国人比率は9.61%〜15.35%となっています。

 

足立区全域の外国人比率4.97%に比較しても、その割合は著しく高いことが分かります。

 

 

残念ながら国籍別の統計が公表されていないため、その「外国人住民」のうちフィリピン人がどの程度住んでいるのかは分かりません。

 

しかし、人口の多い中国人や韓国・朝鮮人とともに、少なからずフィリピン人も居住していると考えられるでしょう。

 

 

『ニューハングリー』フィリピン料理レストラン

 

リッチ(Richita Razen)さんが個人経営するフィリピン料理レストラン。

 

とても優しくてオープンマインドな店長さんです。

 

リッチ(Richita Razen)さん

 

竹ノ塚駅からは徒歩15〜20分ほど。

少しかかりますが、穏やかな街並みを散歩していると「足立区生物園」のある公園の裏手に店が見えてきます。

 

 

こちら、チキン・アドボ(鳥の甘辛煮)。フィリピン料理好きにはたまらない逸品です。

 

 

 

ガーリックライスアドボカルデレータ(シチュー)などをかけて食べると・・!

 

 

 

ウベ(むらさきイモ)のビコ(米を甘く煮たもの)。これも美味です。

 

 

 

この「ニューハングリー」は今年2020年でオープン11周年を迎えます。

半分は日本人客、半分は近隣に暮らすフィリピン人のお客さんだとか。

 

 

雑貨や食料品もすこし売られています。

フィリピン人ご用達の化粧品などの雑貨

 

フィリピンでよく食されるタイプのバナナ

 

フィリピンのスナック菓子や缶詰、スープの素など

 

レストランは、毎週土日の夕方5時頃から食べ放題。それ以外の時間帯でも良心的な値段でフィリピンの家庭の味を堪能できます。

 

ちなみに、このお店には相撲取りの元大関・高安(母がフィリピン出身)がときどき来店するそうです。

高安関(右)とリッチさん

 

『カバヤン』サリサリ(雑貨店)&フィリピン料理レストラン

 

竹ノ塚駅東口からほど近い繁華街にある建物の2階に、知る人ぞ知るフィリピン雑貨屋兼レストランの「カバヤン」はあります。

 

メニューは、すべてタガログ語。

 

 

日本のお客さんより、フィリピンのお客さんの方が多いからのようです。

 

さらに、トイレの注意書きもタガログ語のみ。

 

 

 

日曜日には、フィリピン料理60分食べ放題を開催しているようです。

 

 

また、上の写真にあるお弁当箱は、近隣のフィリピン・パブに出前として届けるためのものなのだとか。

 

パブで働く人たちが、ふるさとの味で腹ごしらえをするんだそうです。

 

また、(写真はありませんが)店の奥にはフィリピンから輸入した雑貨や食料品が並べられています。

近所にあった1号店が再開発の立ち退きにあったため、こちらの店舗に統合したのだとか。

 

 

フィリピンから来た住民への聴き取り

街なかで出会ったフィリピン出身の人たちに、いまの生活はどうか、困りごとはないかを尋ねてみました。

 

この日に会った人の多くは来日10年前後やそれ以上で、特に大きな困りごとを抱えてはいないようです。

 

しかし、それぞれに思うところはあるようでした。

 

以下は、その聴き取りの記録です。

 

Mさん

日本人の夫との間に、日本で子どもを3人産んで育てた母親。子どもは20代を筆頭にもう自立していて、孫もいる。夫とは離婚した。

ただ、子どもとは意思疎通が十分とは言えないまま生きてきたし(教えた算数の計算方法が違うと言われたとか、ニュースで言ったことが自分は分からなかったから子に尋ねたとか)、今は孫と日本語で話したいと願っている。

日本語クラスがあれば通いたいけれど、11:30から21:00まで仕事をしているから時間は無いかもしれない。

 

Jさん

料理屋で働いているおじさん。日本語を使うことがないため喋れないが、勉強はしたい、と笑いながら話していた。(強いモチベーションがあるかは不明)

 

Aさん

15歳の子どもがいる母親。

子どもはフィリピンの中学1年まで修了して来日。2年間日本の中学に通って全日制高校に入ったが、馴染めず中退。

いまは通信制高校の高校生になっている。日本語の勉強は必要。

 

Bさん(日本人)

妻がフィリピン出身という日本人のおじさん。もう子どもは大きいし、そんなに日本語で困ってもないよと言っていた。

 

Yさん

16歳くらいの子どもがいる。フィリピンにいて、前夫との子。その後、偽装結婚で10年前に来日。いまは永住権をとった。綾瀬、草加、上野などのお店で働いたこともある。

 

Cさん

32歳、来日7年目。12歳くらいの子がフィリピンにいる。日本には時々来ていて住みたいとも言ってるが、今さら呼び寄せるのもどうかと思っている。

とりあえずフィリピンで学校を終えて、いずれまた来日して働きたくなったら来たらいいとは思ってる。

日本人の夫とは離婚した。そのあとも何人かと付き合ったが、みんな浮気っぽい人だったから別れた。まじめな人と付き合いたいが、出会いがないと思っている。

 

Tさん

7歳と13歳の子がいて、上の子が下の子の面倒を見ている。

とは言え、コロナ休校が始まって以来、2週間ぶりにようやく仕事に来ることができたところ。

 

Aさん

30代のお母さんと、15ヶ月の娘。日本人の父がいる。

日本語で子育てしつつ英語のYouTubeを見せるなどして英語を教えている。

 

Oさん

来日40年以上。夫が10年ほど前に亡くなり、子どもらは孫もできて出ていったので、いまは一人暮らし。

特に困ってはいないけど、寂しくはある。

だから時々、フィリピン出身の親戚同士集まって喋っている。

 

Rさん

Born Again 教会(会衆は20名くらい)のメンバー。

月に2回、10  人くらいで集まって聖書勉強会をしている。

 

まとめ

大人も、子どもも、無料なら日本語を学びたいと思っている人はいる様子でした。

ただ、この日に会った人々の多くは来日10年前後やそれ以上で、特に大きな困りごとを抱えてはいないようでした。

なお、どこに住んでいるかを教えてくれた人もいて、舎人、西新井、北綾瀬と、区内ながらバラバラでした。電車ではなくバスで移動しているとのことです。

 

 

 

以上、2020年3月20日に行った、東京のフィリピン・コミュニティ『リトルマニラ』竹ノ塚駅周辺の地域調査の記録でした。(写真の一部は2018年9月の1回目調査時に撮影したものです)

 

引き続き、調査を継続する予定です。