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2018年11月24日(土)に丸1日開催された、「外国人児童・生徒サポーター研修 実践編 ー 第2回 キャリア形成へとつなげる取り組みを考える」(名古屋国際センター)の内容です。
当日、Twitter(@takuji85)で実況中継のようにツイートしていたものをまとめました。
東濃高校(岐阜県/全日制・単位制普通科高校)
岐阜東濃高校は、約10年前から、「基礎的な日本語能力をみる検査」という入学検査方式が導入され、3名の外国籍生徒が入学。
その後、右肩上がりに外国籍生徒が増加。今や全生徒の4人に1人が外国籍。 pic.twitter.com/g4PRHxxAgb— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
これから定住する外国人の若者が増える日本社会において、大事なテーマとなる「キャリア形成」。 午前は岐阜の東濃高校。 可児市や美濃加茂市という外国人集住地域から通う生徒が多数の学校の先生からのお話。
岐阜東濃高校は、約10年前から、「基礎的な日本語能力をみる検査」という入学検査方式が導入され、3名の外国籍生徒が入学。 その後、右肩上がりに外国籍生徒が増加。今や全生徒の4人に1人が外国籍。
特別支援(発達障害などをもつ子)の手法を、外国人生徒の授業にも転用している。
例えば、黒板の掲示物をなくして、視線が散らないようにする。また、教諭からの指示を「#やさしい日本語」にする。 pic.twitter.com/IipXO5rgR0
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
国際クラスの特徴、授業内容。 プロジェクト学習も。 例えば、沖縄の研究&プレゼンをする。
特別支援(発達障害などをもつ子)の手法を、外国人生徒の授業にも転用している。 例えば、黒板の掲示物をなくして、視線が散らないようにする。 また、教諭からの指示を「#やさしい日本語」にする。
岐阜のNPOのG-net @Gnet_gifu のスタッフたち、あるいは岐阜大学の学生たちと外国人生徒との「ナナメの関係」をもとにした #キャリア教育 。
ほかにも多様な地域のNPOや企業とコラボレート。
「ミッションを達成せよ」という課題解決型の手法も。 pic.twitter.com/wbHeM22o7x
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
通訳者やバイリンガル指導員の過負担の課題。 夜勤のある工場労働者の親たちの対応は深夜や早朝に及んだりもする(日中は親にとって貴重な睡眠時間だから)。 これは僕がフィリピン人保育園をやっていた時にもあったかなり大きな問題。 家庭に寄り添えば、どうしてもブラック労働になってしまう。
岐阜のNPOのG-net @Gnet_gifu のスタッフたち、あるいは岐阜大学の学生たちと外国人生徒との「ナナメの関係」をもとにした #キャリア教育 。 ほかにも多様な地域のNPOや企業とコラボレート。 「ミッションを達成せよ」という課題解決型の手法も。
外国人生徒の高校進学率は約80%。
逆にいうと、20%は中卒のまま社会へ。
ちなみに日本人を含めた全体の高校進学率は98.7%(中卒は1.3%)。中卒率は単純に比較して10倍か15倍に。 pic.twitter.com/X7uDITOGiy
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
赤のグラフ。 日本語教育が必要な外国籍児童生徒数。 増加傾向。 これに「日本国籍」をもつ日本語指導の必要な児童生徒数を加えると、4万人を超える。
外国人生徒の高校進学率は約80%。 逆にいうと、20%は中卒のまま社会へ。 ちなみに日本人を含めた全体の高校進学率は98.7%(中卒は1.3%)。 中卒率は単純に比較して10倍か15倍に。
「公正な採用」という足かせをはずして、日本でも稀有な外国籍生徒を対象とした企業説明会を、地元のハローワークが実施。 pic.twitter.com/2UGM5lo8Cm
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
高校入学時におよそ10万円かかる。 本国の家族を支える仕送りなどをする外国人家庭が負担するには厳しい額。 それゆえに、制服を買えずにしばらく通学をできずに自宅待機していた生徒もいた、という。
「公正な採用」という足かせをはずして、日本でも稀有な外国籍生徒を対象とした企業説明会を、地元のハローワークが実施。
外国人生徒の目指すべき道。
でも「通訳」だけではなくて、ダイレクトに多言語をあやつる、するどい国際感覚をもった人材になりうる。
日本社会は、日本語ができる多言語多文化人材の有用性や希少性をもっと貴いものとして大切にしたほうがいい。 pic.twitter.com/DOHnbf9a7n— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
「早くからの日本語指導」。 これは小学1年生のその前から必要だと僕は思います。 入学時点で日本語がわからずつまずくと、そこから追いつくのは大変。 3、4歳の頃から日本語「で」友だちや先生と遊ぶこと。その経験を通してナチュラルに日本語を身につければ義務教育課程へもスムーズにつながる。
外国人生徒の目指すべき道。 でも「通訳」だけではなくて、ダイレクトに多言語をあやつる、するどい国際感覚をもった人材になりうる。 日本社会は、日本語ができる多言語多文化人材の有用性や希少性をもっと貴いものとして大切にしたほうがいい。
NPO法人YSCグローバルスクール・田中宝紀さん
愛知県「外国人児童生徒サポーター研修」午後の部
YSCグローバルスクール @kodomo_nihongo の 田中宝紀さん@iki_tanaka のお話。
「キャリア形成へとつながる取組みを考える」 pic.twitter.com/7uzrkzm5yR
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
@kodomo_nihongo はもともと虹の架け橋など補助金や委託事業などを受けていたが、その不安定性から依存を避け、有償サービス化したり寄付を募って奨学金を支給したり。
ファンドレイジングに力を入れておられる。(求人中!)https://t.co/YLJvUEXGGU— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
YSCに通う子のうち、困窮・低所得家庭は25%など。
海外ルーツの子どもには、子どもの貧困などあらゆる社会の課題が顕在化しやすいんだなと思う。
YSCグローバルスクール @kodomo_nihongo はもともと文科省の「虹の架け橋教室」事業など補助金や委託などを受けていたが、その不安定性から依存を避け、有償サービス化したり寄付を募って奨学金を支給したりしている。現在、ファンドレイジングに力を入れておられる。(求人中!)
日本語指導が必要な(≒外国人の)高校生のうち、進学率は40%ちょっと。一方、非正規就職率は一般の8倍以上。 pic.twitter.com/kpSv8bqGFr
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
「外国人は高校に行けないと思った」という言葉。適切な情報が手元まで届けられていない。
日本語指導が必要な(≒外国人の)高校生のうち、進学率は40%ちょっと。一方、非正規就職率は一般の8倍以上。
YSCさん @kodomo_nihongo 自体がもともと就労支援などが主たる活動の組織なので、海外ルーツの若者のキャリア支援に強みを活かした専門的サポートができる。
これだけ体系的に支援をしているのは、外国人支援先進地域の愛知岐阜などでも見たことない。 pic.twitter.com/HLO70vjR5u— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
キャリア教育
職業教育
就労支援
就職支援
それぞれの違いと特性を見極めてサポートしなければ、効果が出づらくなる。
YSCさん @kodomo_nihongo 自体がもともと就労支援などが主たる活動の組織なので、海外ルーツの若者のキャリア支援に強みを活かした専門的サポートができる。
これだけ体系的に支援をしているのは、外国人支援先進地域の愛知岐阜などでも見たことない。
ケーススタディ。
僕は「工場で働くー?って声かけちゃうかも」とか適当なことを答えたら、
ほかの(おそらくご自身が海外ルーツの)会場の方は「工場で働くとあとで大変になるよー、と自分の経験から言うと思いますね」と。そうですよね…?
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
家族滞在から、定住または特定活動への在留資格の変更。
外国籍の子ども若者を支援するに際して、戦略的に在留資格を取得・変更することを勧めるのも重要。
たとえば、「いつか子どもを本国から呼び寄せよう」と思っている親には、「中2までに呼び寄せないと後が大変!」というような情報提供。
ケーススタディ。
僕は「工場で働くー?って声かけちゃうかも」とか適当なことを答えたら、
ほかの(おそらくご自身が海外ルーツの)会場の方は「工場で働くとあとで大変になるよー、と自分の経験から言うと思いますね」と。
そうですよね…
続)
外国人支援団体が自前の支援プログラムを一からつくりあげていくよりも、たとえば日本人を主な対象としている支援団体と我々(外国人支援団体)が掛け算(コラボレート)したら、もっと現実的に支援環境を拡充をはやくできるのでは、という田中 @iki_tanaka さんからのご提案。
まさに!! pic.twitter.com/bIfDlJC2u1
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
承前) あらゆる可能性を示したうえで「道はひとつじゃないよ」ということを伝えたうえで、当事者の気持ちに寄り添っていくといい、と田中さん。 「いつでも、いい」 「今でなくても、いい」
外国人支援団体が自前の支援プログラムを一からつくりあげていくよりも、たとえば日本人を主な対象としている支援団体と我々(外国人支援団体)が掛け算(コラボレート)したら、もっと現実的に支援環境を拡充をはやくできるのでは、という田中 @iki_tanaka さんからのご提案。 まさに!!
外国人の若者による体験談発表
王さん(中国出身)
愛知県「外国人児童生徒サポーター研修」第3部
体験談発表。
王さん(中国出身)。
2013年来日、愛知のNPOトルシーダへ。
10月来日、翌年3月には定時制高校に入学。本来4年制のところを、優秀過ぎて(日曜日も勉強して)3年で卒業!
そして名古屋商科大へ入学。
高校3年でN1も合格。 pic.twitter.com/DkFotzcsye— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
王さん(中国出身)。
2013年来日、愛知のNPOトルシーダへ。
10月来日、翌年3月には定時制高校に入学。本来4年制のところを、優秀過ぎて(日曜日も勉強して)3年で卒業!
そして名古屋商科大へ入学。
高校3年でN1も合格。
いつも、日本語の先生から「将来なにをやりたいの?」と訊かれていた、と。 pic.twitter.com/yK6cswOPBe
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
「日本語を教えてくれた先生たちに感謝です」
日本に来てくれた若者に日本社会も感謝せねば。
いつも、日本語の先生から「将来なにをやりたいの?」と訊かれていた、と。
この体験談発表の最後、
「あ、あと、最後に大切なことは、やっぱり感謝の気持ちかなと思います。日本語を教えてくれた先生たちに感謝しています」— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
「たとえば日本は祝日が多い。それぞれの日の意味を学んだ。
言語のみの学習ではなく、文化や人との付き合い方も日本語教室で教えてもらった。
自分は会計のことを勉強したかったので、そのことを言うと、先生からたくさん数学の本なんかをもらった。」
こういう支えをして下さる先生の存在は貴重!
この体験談発表の最後、
「あ、あと、最後に大切なことは、やっぱり感謝の気持ちかなと思います。日本語を教えてくれた先生たちに感謝しています」
菊地さん(アルゼンチン出身)
「工場で働くようになって、でも日本語も、同じ労働者のブラジル人のポルトガル語もしゃべれなかった。それで意地悪をされたりしたので、言い返すためにポルトガル語の悪い言葉を覚えた(笑)。それで言い返したらリスペクトされた!
それでだんだんポルトガル語に興味が湧いてきた」 pic.twitter.com/iO8Tll5tsA— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
続いて、菊地さん。アルゼンチン出身の3世。愛知県の語学相談員。
かつ、ユーチューバー!
スペイン語で日本のことを紹介するチャンネル。
https://www.youtube.com/channel/UCDq5e3ipM_IF8Izwa3tGI0Q?app=desktop
「工場で働くようになって、でも日本語も、同じ労働者のブラジル人のポルトガル語もしゃべれなかった。それで意地悪をされたりしたので、言い返すためにポルトガル語の悪い言葉を覚えた(笑)。それで言い返したらリスペクトされた!
それでだんだんポルトガル語に興味が湧いてきた」
「高校でちょっと悪い仲間と友だちになってですね、日本語が分からないことがストレスにもなって、残念ながらヤンキーになっちゃいました(笑)。でもそのあとプロテスタント教会に行き始めて、先生に『菊地くん。絶対ビッグになるぞ!』と言われた。それが今もずっと残ってて、必ずビッグになります」
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
どうやって日本語を覚えたか?
「辞書はぼくのマイフレンド、ずっといっしょにいた」
「家族のサポートにはほんとに感謝」
「高校でちょっと悪い仲間と友だちになってですね、日本語が分からないことがストレスにもなって、残念ながらヤンキーになっちゃいました(笑)。でもそのあとプロテスタント教会に行き始めて、先生に『菊地くん。絶対ビッグになるぞ!』と言われた。それが今もずっと残ってて、必ずビッグになります」
まとめ
右から田中さん、王さん、菊地さんによる、まとめのパネル・ディスカッション。
日本に来ていろんなストレスにあってどう克服したのか?という質問に対して、
「荒れてた時期もあったけど、夜勤してるお母さんの姿みて、自分ばっかりワガママ言ってられない。支援してくれる人もたくさんいるし、その人たちのためにもやっぱり頑張ろうと思った」(菊地さん)— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
- 適切な情報が手に入ったこと。
- 友人や先生との出会い。
- 家族の支え。
「この3つが、言わば3種の神器として機能すれば、自分の望むキャリアを歩んでいけるのではないか、ということ。」(田中さん)
日本に来ていろんなストレスにあってどう克服したのか?という質問に対して、
「荒れてた時期もあったけど、夜勤してるお母さんの姿みて、自分ばっかりワガママ言ってられない。支援してくれる人もたくさんいるし、その人たちのためにもやっぱり頑張ろうと思った」(菊地さん)
承前)
「バイトすること。お小遣いでは簡単にもらえるけど、週28時間の制約の中で頑張っても月8万か9万。そうしたらぼくは親に感謝して、やる気も出るようになった」(王さん)— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
前々ツイートの3種の神器について、会場の役所元通訳さんが
「この3つに加えて、本人のやる気っていうのも大事だと思います。で、どうやったら本人のやる気を引き出せると思いますか」
という質問に対して
「バイトすること。お小遣いでは簡単にもらえるけど、週28時間の制約の中で頑張っても月8万か9万。そうしたらぼくは親に感謝して、やる気も出るようになった」(王さん)
ちなみに、ボイストラ(VoiceTra)という通訳アプリが話題に。
TOEICだと900点レベルまでの通訳力を発揮してくれるそう。VoiceTra by NICT https://t.co/1qPYanaCH3 pic.twitter.com/CNnZFw30Z0
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
「本人のやる気の問題。しかし、それは本人の問題なのか、社会がやる気を出せるような環境を提供できているのか?を問わなければならないのではと思う。また本人が怠け者と断じる前に、その背後に貧困であったり障害であったりが隠れていないかにも気を配らねばならない」(田中さん)
ちなみに、ボイストラ(VoiceTra)という通訳アプリが話題に。
TOEICだと900点レベルまでの通訳力を発揮してくれるそう。
VoiceTra by NICT
https://itunes.apple.com/jp/app/voicetra/id581137577?l=en&mt=8
「自分がみている子たちのなかで、母語も日本語も両方中途半端な子が増えてきたと感じてます。はい、いいえくらいでしか返事できなかったり」(菊地さん)
現場でもダブルリミテッドの課題を肌で感じるよう。
— 山田 拓路 (@takuji85) November 24, 2018
日本の生活で困ったことがあれば、という質問に対して。
「手続きが多いこと」(王さん)
まさに!ですねー。しかもハンコとかアナログかつ無意味なやつが多い。
「アルゼンチンは先輩後輩は近いけど、日本は厳しいから大変だった。あとは電話の対応で怒られたり」(菊地さん)
「自分がみている子たちのなかで、母語も日本語も両方中途半端な子が増えてきたと感じてます。はい、いいえくらいでしか返事できなかったり」(菊地さん)
現場でもダブルリミテッドの課題を肌で感じるよう。
以上、「外国人児童・生徒サポーター研修 実践編 – 第2回 キャリア形成へとつなげる取り組みを考える」の報告でした。