「外国人集住都市会議おおた2018」の記録と『おおた宣言』

 

基調講演:毛受敏浩さん(公益財団法人 日本国際交流センター 執行理事)

終わりのない人口減少

集住都市会議は定員を超える申し込みがあったそうだ。

今年は最大の盛り上がり、転換点と考えている。

 

21世紀は日本にとって人口減少の世紀

西暦2100年には5072万人になるとの試算(国立社会保障人口問題研究所、2017年)

今の小学生の子どもたちは、2100年まで生きる人が多い。

人口減少は不可避。

しかし外国人を受入れたからといって、人口減少が止められるわけではない。

では受入れても無駄かといえば、そうではない。

AIの活用などもしながら、国をあげて日本社会を成り立たせていかなければならない。

 

人口減少への歯止めとしての地方創生

2014年 地方創生法 予算1兆円/年

目標

  1. 合計特殊出生率を上げる
  2. 地方から東京圏への人口移動を抑制する(2020年に均衡目標)

しかし実績はあがってきていない。

 

2019年は「移民元年」

なぜ「移民政策と異なる」と政府は言い続けるか?

  • 国民箇条への配慮(治安悪化?)
  • 自民党右派勢力への配慮(移民・外国人に対してセンシティブな層に)

→政治的な妥協の産物。

しかし山をいったん越えてしまえば、移民と言うか否かは別にして、前進していくだろう。

 

なぜ移民政策はタブー視されてきたのか?

  • 移民に対する誤ったネガティブイメージの流布

ex. 犯罪増加、日本人の仕事を奪う

  • デリケートな対中関係の影響により中国人増加への懸念

→東南アジアからの受入れを優先

  • 日本的同質性の維持への固執

→人口減少で伝統文化の急速な喪失(日本人だけで日本文化を維持することは困難に)

  • 「人口減少でも小さな豊かな国を目指すべき」という主張

→経済成長なければ国債を返せず、国家破綻のおそれ

  • ヨーロッパでの難民移民による社会政治問題

→非合法な入国に苦慮。日本の外国人受入れとは別次元の問題

 

日本の総人口と外国人の増減

2017年 日本人403,000人減少、外国人179,026人増加。

 

人口増加の都県の人口変動

人口が増加している都道府県は7都県のみ。

その全てにおいて、人口増加に占める外国人の割合が27.5%〜136.3%を占めている。

 

「移民政策がないと移民問題が起こる」

制度の変更なく、2017年だけで18万人増加。

増加理由→デカセギ留学生、技能実習生の急増

⇛「労働者」としての受入れをしないと、ブローカーの暗躍などを招く

 

在留外国人の変化

2017年 250万人以上 中韓越比など多様な国籍

1989年 100万人弱  3分の2 以上が韓国・朝鮮籍者

 

従来の外国人受入れの課題

日本社会のゆがみの一時的な対処

ブルーカラーの労働力不足への対処→日系人・技能実習生の受入れ

→社会への影響を考慮しない施策、対応策の欠如。

 

「30年間の政策空白」問題

  • 自治体・市民への丸投げ
  • 子どものダブル・リミテッド、不就学児の増加 ほか
  • ドイツでは30年間の政策不在によりトルコ系住民が社会の下層へ。ドイツ人との確執、社会の治安悪化の懸念も。

→2004年の新移民法後、総合政策の徹底。

600時間のドイツ語学習義務付け、など。

 

「改正出入国法」

  • 在留期間の上限を5年とする就労を目的とした在留資格を創生

→5年で34.5万人

課題:

  • 登録支援団体で適切な運用は可能か?(監理団体は許可制)

→受入れ企業とあわせて客観性・透明性を。例:ポイント制評価など。

  • 地方から都会への流出は防げるか?
  • 技能実習制度は廃止/縮小か?

技能実習は人数制限がない。特定技能はあるにもかかわらず。併存はおかしい。

  • 滞在中に行う試験の合格者には家族帯同・定住を認める

本来、2号への以降が特定技能制度の意義

 

外国人の活躍

  • 世界に向けての情報発信
  • 日本に異文化、価値観、ライフスタイルなどを紹介
  • 地域イベントやNPOリーダー

→「多文化パワー」

 

今後必要な政策・議論

30年後の日本は? という未来像を描くこと。

究極的には「日本のアイデンティティ」とは何か?

→異文化をてこにイノベーションを起こしてきた歴史

 

日本人の意識の醸成

  • 住民の意識をどう変えるか?

例:ドイツのウェルカムセンター、韓国「世界人の日」

  • 企業の意識をどう変えるか?

日本人と同待遇にする、企業を担う人材との認識を

 

外国人集住都市会議に期待すること

  • 30年間の政策空白の検証と政府への提起(集住都市による知見の広い共有)
  • 「多文化共生0」といったビジョンの構想

 

 

 

セッション1 「新たな外国人材の受入れについて」

集住都市首長および省庁の発表

  • 太田市 清水市長
  • 大泉町 村山町長
  • 浜松市 鈴木市長
  • 四日市市 森市長

 

  • 法務省入国管理局長 佐々木さん
  • 法務省入国管理局 在留管理業務室長 菅野さん
  • 総務省 国際室長 風早さん
  • 厚労省 外国人雇用対策課長 古舘さん
  • 文科相 大臣官房国際課長 奈良さん
  • 文化庁 国語課長 高橋さん
  • 明治大学教授/コーディネーター 山脇さん

 

山脇教授

2019年4月からの新体制がテーマ。

見方によっては「多文化共生元年」という言い方もできるかと。

 

鈴木市長(浜松市)

1990年の改正入管法施行が一つのきっかけ。

1988年ブラジル人28人→2008年約2万人に

外国人市民数の推移

永住者・定住者が多くを占める。「ほとんど移民と言っていい方々」。

国籍別内訳は南米系が半数、アジア系が半数。

入館法改正について私は「基本的に賛成」。

→日系人や技能実習生などの受入れは行われてきた。これを正面からの受け入れにしていこうというのは評価できる。

  • 外国人を受入れていくには、血の通った人間である、地域の生活者であるという視点が必要。
  • 国と地方自治体の役割と責任を明確に。入国管理庁ができるが、いずれは内閣府に社会統合施策をやる多文化共生庁などを設置するべき。

 

大泉町長

群馬県で最小の基礎自治体。

外国籍人口18%、南米系外国人が約7割。

永住者38.8%、定住者30.6%。 7割以上の住民が10年以上居住。

共生へ向けた取り組みと関係づくり

日本語指導助手は町の単費で支出。外国人相談窓口、翻訳などあわせて、約1億円。

国にお願いしたいのは財政支援。大泉町は不交付団体でもあるため。

町がもっとも苦労しているのは災害時Jアラート。

自治体だけでは限界。

「郷に入れば郷に従え」。

 

四日市市長

人口約3%が外国籍。ブラジルを筆頭に、中国、韓国。

笹川地区:地区人口の17%(1662人)外国籍。多文化共生モデル地区としている。

笹川子ども教室、戸別訪問などを実施。

昨年末の「総合的対応策」は、国の役割が地方公共団体やNPOなどの後方支援をするというようにもとれるのでは?

地域ボランティアによる日本語教室における課題:質・量とも受入れには限界が。

提言:

  • 外国人市民の就労先である企業や登録支援機関が、外国人従業員に対する日本語教育および日本での生活指導等を、責任を持って実施するよう、国が法的に義務付けること。
  • 国や県が、外国人従業員に日本語教育等を行う企業等に対して、実効性のある支援を行うこと。

→日本語教育の専門家の派遣、補助金の交付など。

日本語教育推進議員連盟の先生方が進めておられる日本語教育推進法案などの動きを、地方公共団体からも進められたらと。

 

 

法務省入国管理局長 佐々木さん

浜松市長・四日市市長からあった、外国人材受入れへの支援。について。

今回、初めて入国管理局の施策として「支援」が義務付けられた。

外国人の方に寄り添いつつ、なにかあれば相談にのるということを制度として盛り込んだ。

外国人が増えていく日本社会にあって、受入れインフラとして整っていけば。

「骨太の方針」→「総合的対応策126施策」

この126の1番目が、自治体の声を聴く、ということである。

わたしたちの気持ちがここに表れている。

ただ、現段階ではまだメニューにすぎず、これからいかに実施していくか。

 

総務省国際室長 風早さん

資料P.86〜

多文化共生アドバイザー制度

多文化共生地域会議

災害時外国人支援情報コーディネーター制度

JETプログラム ほか

 

厚労省 外国人雇用対策課長 古舘さん

労働力ではなく生活者として受け入れること。

電話や通訳設置などによって相談を受けられるようにする。

希望に沿った就職を応援。

加入が必要な保健への加入の促進。

医療機関における多言語対応についても行政として支援。

 

文科省 国際課長 奈良さん

大人から子どもまでの日本語教育。外国人の子どもに対する教育、留学生への就職支援が重要と考える。

日本語学習者の数は過去最高。

一方、6割の自治体には日本語教室すらないことは課題。

この10年で外国人の子どもは2倍近くに。母語多様化、地域も偏在。

留学生について、国内での就職は6割。しかし就職がかなうのは3割。乖離がある。就労・生活に円滑なコミュニケーションができるよう支援。

予算は前年比3倍近い額を確保。

省内では副大臣を座長として検討チームを組んでいる。

 

文化庁国語課長 高橋さん

生活者としての外国人への日本語教育(地域日本語教育)。

資料P.101

「地域日本語教育の総合的な体制づくりの推進」を新規に盛り込んでいる。

点ではなく面への支援と言える。

日本語教育の地域コーディネーターをおく。

四日市市の発表にもあったが、人材育成の関係。

「日本語教育人材の確保」 資料p.101

プロ日本語教師(就労目的、児童生徒、生活者などそれぞれ)と、ボランティアと。

地域日本語教育においてはノウハウの共有が重要と考えている。

ノウハウ共有を全国に普及・展開させたいと考えている。

 

ディスカッション

大泉町長

(厚労省へ)

外国人材は賃金が安いということがある。

10年以上住んでいる持ち家の定住者のしごとが奪われた場合に、生保受給者になるというようなことを考えたことがあるか?

社会保険証のこと。

 

厚労省

最低賃金の遵守は当然。

最低基準にくわえて、ベターな水準であることが望ましい。(努力義務だが)

被用者保険から国保・国年に移らない方への懸念かと思うが、法務省にも協力いただいて情報共有していただきながら。

 

入国管理局長

今回の仕組みの中では、日本人との同等賃金とある。

どう担保するか?

他の従業員の賃金台帳を見せてもらって、恒常的にチェックする(3ヶ月ごと)仕組みとしている。

 

 

太田市長

けっこう施策は充実している。

教育なんかはとくに。3倍の予算がついているなど。

たとえば集住都市の15都市がどの程度その予算をうまく使えているか。

日本語教師がボランティアだけのところもある。

使い勝手が悪いのか、我々が無知だけなのか。

いずれにせよ、こういう仕組みをしっかり使わなければならない。

子どもたちの教育はかれらの権利ですから。かれらの権利を奪っていることにもなりかねない。

権利義務がはっきりしていることが、我々が「生活者」として認めていることになるのではと。

126あるけど、ちっともわからない。

たとえばワンストップセンター? 医療教育すべてが分かっているセンターなんてできるわけない。そんな余分な介在物をつくらず、役所が直接やれたほうがどんなにいいか分かんない。

 

浜松市長

こういう126施策の申請、これはもう先進地域はすでにやっていること。遥かに進んだ取り組みを。

ワンストップセンターも、外国人学習支援センターも。

現場は相当進んでいる。

こういうメニューをつくるんじゃなくて、まるまる交付金をくれたほうがよっぽどいい。現場のことは我々が一番わかっているので。

中川議員はじめ、国会で考えていただければ。

あと、特定技能はやはり2号に移行することをきちんと進めていただきたい。

メーカーからも、せっかく技能が向上した人材が帰国せざるを得ないのは痛い、という声がよく届いている。

これは外国人の皆さんのニーズからしてもそうだろうし、受け入れ側の自治体としてもそうだ。

「移民政策だろう」と言われるなど政治的なことはあるだろうが。

 

入国管理局長

今回の総合的対応策について、たしかに長年外国人を多く受入れている自治体においては、今回の126施策のメニューは「今頃何を」というお気持ちなのはごもっともかと。

しかし、他の自治体においても、集住都市の皆さんのような施策をできるような、全国に広げていくような取り組みも必要なのだろうと思う。

ただこうした、思いつくメニューを総合的にあげたような形になるが、これをきちんと周知していく必要はあると存じている。

自治体との連携の専門職員を局内におくことにもなっている。

 

四日市市長

126施策は各論だが、包括的な支援をいただけるような形がありがたい。

市内在住、市外在勤の方の日本語教育を、市外の企業にお願いしに行くと「なんやねん」と言われてしまうことも。

そのあたりを国のトップの方から言っていただきたい。義務付けと言うと強すぎるかもしれないが。

自治体でいかなる日本語教育機会をつくっても、参加できない方々もいる。やはり仕事の場での機会と、両輪でいかなければならないのではと。

国から大きな指針として示していただければ。

 

入国管理局長

支援の義務付けがメニューに入った。

日本語教育が義務というわけではないが、どのようなニーズがあるのか聴いていきたい。

人材を受入れているのだから「相当のコストはかかるのだ」と企業と思いを共通にしていく必要があると思っている。

 

山脇教授

国と地方自治体の対話が行われていて、自治体の声が国の施策に反映されていくというのは国際的に見ていっても珍しい、意義深いことだと感じている。

総合的対応策のなかで、多言語化。

集住都市会議は長年多言語化を主張してきたが、今回ようやく施策にもりこまれたことは、長年主張したからこそかと思う。

 

 

セッション2 「外国人住民が多様性を生かし活躍できる環境の整備について 〜日本語教育を中心として」

 

太田市長

22.4万人人口。工業都市。

人口の4.9%が外国籍者。

近年はベトナム・フィリピンの人がとくに増加。

身分に基づく在留資格者が増加し、定住化が進んでいる。

外国籍児童生徒推移。高校進学率93%

現状と課題(子ども)

  • 児童生徒の増加
  • 同 多国籍化

発達に課題のある子どもの支援。

ブラジル本国からバイリンガル教員を雇い入れているのが特徴

現状と課題(大人)

  • 日本語が読めない 9%

投げかけ事項

  • 外国人児童生徒への日本語教育の充実

日本語指導担当教員の指導充実

夜間中学等の学び直し機械の充実

小学校4年生でイマージョン(日本語)教育をやるべきではないかなと思っている。英語では成果が得られており、実証済み。許されるなら、必ずやりたい。

 

豊橋市長

外国人比率4.5%

工業都市ではあるが、農業生産高もある。これから農業の分野でも外国人に働いてもらうことになるだろう。

国への提言:外国人の視点からの環境整備

  • 日本語学習制度の構築
  • 日本語だけでなく英語による日本人と同等の教育環境の整備

豊橋市の取り組み①

「にほんごきょうしつ・豊橋ふれあい日本語教室」

日本語指導ボランティアの運営による日本語指導

豊橋市の取り組み②

「外国人児童 サマースクール」

豊橋市の取り組み③

「日本語初期支援校 みらい」8週間の集中的な日本語指導=効果絶大

 

 

入国管理局長

この2市の先進的な取り組みをうかがっていても、それぞれ異なる取り組みをなさっている。

この点からも、支援の難しさを感じている。

 

文科省 三好課長

日本語教師の質の向上。

日本語指導の免許にかからしめるべきではという議論はあるが、その免許保持者しかしどうができなくなるなど課題もある。

いずれにせよ、質の向上は必要。

教師の養成・質の向上を目指すプログラムができている。

では誰がこのプログラムの指導者になるのかなどの課題はある。

また、夜間中学について、全都道府県に少なくとも1箇所は作っていこうという取り組み。いまでは在籍者の8割は外国人。

英語のイマージョン教育などの話について、制度的には教育課程特例制度?というものがあって、そういったものを活用しながら取り組みを進めていただければ。

それに必要な支援をしていきたい。

外国人高校生向けの包括支援というメニューも用意している。

 

文化庁国語課長

地域における日本語教室のサポートは、これまで個別の支援をするスキームはあったが、地域の体制づくりそのもの支援するというメニューをつくっている。

議員立法の話。日本語教育の施策が法律に位置づけられると、日本語教育施策の後押しをしてもらえることになると理解している。

 

厚労省外国人雇用対策課長

外国人のなかには不安定雇用の方もいる。定住外国人対象に、日本語コミュニケーションや日本の労働法令等の知識をみにつけてもらうための取り組み。日中のみでなく夜間などの実施もしている。

 

 

大泉町長

公立小学校の約25%が外国籍児童生徒。

いま増えているのは特別支援の子供。

まるっきり日本語がわからない子どもがある学期のはじめには1校で17名も転入してきたことも。

国は5億円の予算(p.101 Ⅱ.外国人児童生徒・・)をとっているが、うちの町だけでも日本語指導教員等には3000万円以上を使っている状況で、いったい算出根拠はなにでどう使うのか?

 

文科省

「日本語の指導を含むきめ細かな支援の充実」2.89億

いちばんよく使われているのが、日本語指導補助者への補助(1/3)。

しかしそれを使わない自治体がある。「必須事業」があるが、それができない自治体があるから。今回、要件をやや緩和して、使いやすくしていっている。

キャリア教育(1億円)新規で。

 

豊橋市長

困っていること:ブラジル人学校で高校卒業までいくと、これまではアメリカかブラジルの大学に行っていたが、日本に残る子が増えている。

この部分で予算を組みそこねているところがある。

ブラジルの社会の不安定さもあって、日本に残る子が増えている。

この子たちに、日本語教育を取り出しなどしてやるべきかどうか。

 

文科省 三好課長

一言で申し上げると、あまり答がないという状況。

ブラジル人学校の視察に行って「日本に残りたい人?」ときくと、ほとんど誰も手を挙げない。しかしあとで先生にきくとそうでもない。

ずばりというものはないが、総合的対応策にあるメニューを組み合わせながらやっていただければ。

 

太田市長

日本語イマージョン教育をやるべきだ。

私だって英語勉強してきたのにまるっきりだめ。でもイマージョン教育をしたら必ずできるようになっている。

2カ国語のバイリンガルは確実に生まれる。

英検の2級や1級は子どものうちに平気でとるような。

本気でやるなら、小手先でやるのではなく、ほんとに日本語イマージョン教育をやるべき。

予算がいただければ、太田市が、言うなれば実験台になってやりたいですよ。

 

文科省

先週、豊橋市の初期支援教室「みらい」を視察した。

8週間の集中教育。早い子なら1週間でひらがなが入る。

このように、日本語を身につけるアプローチはいろいろある。

太田市長の言うとおりのものも、また具体的にご相談させていただいて。

 

浜松市長

ムンド・デ・アレグリアというブラジル学校がある。

スズキに勤めていた女性が頼まれて1人で創り上げた。

最初はヤマハやスズキの支援を得ていた。

准認可のハードルを県に下げさせて、日本で初めて認可をとった。

企業からの寄付を得ようと特定公益増進法人の認可をとろうとなったが、文科省に何度言っても、認可はおりない。インターナショナルスクールはいいのに、民族学校はだめだと。山下法務相にもお願いして、考えてもらえることになっている。

外国人には就学義務がない。どうしても、生活が困窮したりするとこどもを学校に行かせることがあとまわしになる。

我々は不就学ゼロ作戦をやっている。全戸調査をやっている。

色んな理由があるが、一つ一つ対応して、いまも不就学ゼロを継続している。

就学義務を日本人と同じように課すべきだと思っているが、いかがか。

 

文科省 奈良さん

国として直接に外国人学校に支援をすることはなかなかできないが、浜松市がそこを支援することを我々としても少し支援をしているところ。

外国人には色んな形態がある。法的な位置づけのない学校もあるなかで、どんな支援ができるのか検討しているところ。

特定公益増進法人についても、公益に資するところはもちろん税制優遇を受けるべきだから検討を進めたい。

 

文科省 三好課長

外国人児童生徒に就学義務を課すかどうかについて、インターナショナルスクールに通う子を引き剥がして日本の学校に連れてくることになってしまう。

では、どこでもいいとするなら、その「どこ」はどこなのか?という難しい議論に。

不就学の問題は大きいが、まずは各自治体が不就学の問題を把握して、その対応を国として支援したいと思っている。

 

 

大泉町長

日本の学校をドロップアウトした子は、ブラジル人学校に行くのかもしれないが、授業料がかかるのでそれもいけないとなると、毎日が休みのようになる。

非行などに手を染めなければいいなと。

こういう課題を把握しているのであればなるべくなにか手当ができないものか。

 

文科省 三好課長

我々としては、ドロップアウトをなくしていきたいと思っている。

年間1割が高校をやめていると。単純計算、高校3年なら7割しか卒業できないことに。

キャリア教育などに力を入れている。また、居場所づくりが大事だといわれている。いい居場所があれば勉強も仲間づくりも。

それがなければ、ネットカフェなんかが居場所になって、悪い先輩につかまって非行に走るというケースもあるだろう。

 

大泉町長

居場所づくりは福祉でやっているので、生保家庭などが対象になっている。

そうするとドロップアウトしたこの中にはそこに当てはまらない子もいる。

それではやはり貧困の連鎖をうみかねない。

対応を強くお願いしたい。

 

太田市長

総合的対応策のなかの新規事業には、中核市が多いように見えるが、普通の市はだめなのかなと。

 

法務省 菅野

どこに住んでおられても一定の支援を受けられるように、政令指定都市や中核市を中心に、集住都市もある程度含まれている。

 

太田市長

前橋市なんてあんまり外国人の姿を見ない。そんなところより、集住都市に!

 

『おおた宣言』

最後に『おおた宣言』が太田市長より読み上げられた。

 

おおた宣言

外国人集住都市会議は、1990 年の改正出入国管理及び難民認定法の施行に伴う 南米日系人の急増を端緒とし、2001 年の設立当初より、地域で顕在化する外国人住 民に係わる諸課題の解決や外国人住民との共生のための様々な取り組みを推進する とともに、法律や制度に起因する課題については、国等に提言を行ってきた。

少子高齢化・労働力不足が進む我が国において、在留する外国人は、264 万人を 数え、定住化の進展や、アジア諸国からの外国人住民の増加など、在留外国人を取り 巻く環境は、本会議設立当時とは大きく様変わりしている。

国においては、2019 年4月から導入する新たな在留制度を踏まえ、「外国人材の受 入れ・共生のための総合的対応策」を取りまとめたところであり、また、日本語教育推進 議員連盟では、日本語教育推進基本法の制定に向けた法案を国会に提出する動きが ある。これまで特定地域の課題とされた外国人労働者の受入れや共生社会の実現は、 今後、日本全体が課題として議論・共有し取り組んでいく必要がある。

本会議は、外国人の増加に伴って地域社会において生じる様々な課題が、十分に 考慮されないまま受入れが進行することを危惧する。

今後、外国人材の受入れがより一層広がっていくなかで、外国人が安心して働ける 環境整備や地域の生活者として捉えた共生施策を、国が責任を持って自治体、関係 機関、受入れ企業等と連携し取り組んでいかなければならない。

また、人口減少、労働力不足を背景とした有期限的な外国人材の受入れでは、次世 代を担う人材を育成・確保することが困難であるため、中長期的な視点に立った外国 人材の受入れ方針の明示やそのための法制度等の環境整備を強く求めたい。

加えて、国の示された外国人材の受入れ・共生のための取り組みを確実に実行する ため、省庁を横断して外国人施策を調整し推進する「外国人庁」の設置を改めて求め たい。

私たちは、外国人住民との共生に取り組んできた基礎自治体としての四半世紀にわ たる経験を生かし、外国人を含むすべての住民が安心して暮らし、お互いを認め合い、 多様性を生かし、誰もが活躍できる多文化共生社会の実現に向けた取り組みを力強く 進めていく。

 

2019 年 1 月 29 日

外国人集住都市会議

 

 

 

以上、「外国人集住都市会議おおた2018」の記録でした。