被災した他の司法書士会に金員を寄付するために特別に負担金を徴収する旨の司法書士会の総会決議の効力が同会の会員に対して及ぶとされた事例。
→ 登記申請事件1件当たり50円の復興支援特別負担金を徴収するのは可能か?: 可能
裁判要旨
阪神・淡路大震災により被災した兵庫県司法書士会に3000万円の復興支援拠出金を寄付することは群馬司法書士会の権利能力の範囲内の行為であり,そのために登記申請事件1件当たり50円の復興支援特別負担金を徴収する旨の同会の総会決議の効力は,同会の会員に対して及ぶ。
理由
そうすると,被上告人は,本件拠出金の調達方法についても,それが公序良俗に反するなど会員の協力義務を否定すべき特段の事情がある場合を除き,多数決原理に基づき自ら決定することができるものというべきである。
これを本件についてみると,被上告人がいわゆる強制加入団体であること(同法19条)を考慮しても,本件負担金の徴収は,会員の政治的又は宗教的立場や思想信条の自由を害するものではなく,また,本件負担金の額も,登記申請事件1件につき,その平均報酬約2万1000円の0.2%強に当たる50円であり,これを3年間の範囲で徴収するというものであって,会員に社会通念上過大な負担を課するものではないのであるから,本件負担金の徴収について,公序良俗に反するなど会員の協力義務を否定すべき特段の事情があるとは認められない。
したがって,本件決議の効力は被上告人の会員である上告人らに対して及ぶものというべきである。
参照法条
司法書士法14条, 民法43条
裁判所サイト
要旨: http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62439
全文: http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/439/062439_hanrei.pdf
『2019年版出る順行政書士 合格基本書』
p.15 憲法 3〈人権〉人権の享有主体