Salal and Cedar Communityと呼ばれる環境保全活動は、サラル(ブドウのような実をつける常緑低木)とシダー(ヒマラヤスギ)というバンクーバーに見られる植物の名を冠した新しい取り組みです。
この活動の担当者であるローレル・ダイクストラ司祭にご案内いただきました。
バーナビー山の丘から
上掲の写真は、バンクーバー市街から車で30分くらいの所にそびえるバーナビー山の丘からの眺めです。この山は自然が多く残されており、野生の生き物にも出会うことができます。
また、内海も眺めることができました。そこで、ローレル司祭より以下のお話をうかがいました。
「昨年、ガス会社が液化天然ガスを輸送するためのパイプラインを敷設する工事を進めようとしていましたが、適切な環境影響調査が行われていないことが分かり、昨年、住民が反対運動を起こしました。その結果、今のところ工事は中止されています。」
日本では原発再稼働で同じような反対運動が起きていることを話すと、「よく知っています」とのことでした。また、辺野古の米軍基地建設反対運動についてもお話しましたが、これはご存知ありませんでした。
また、ローレル司祭が中心となって、来年にはユース対象の環境を考えるキャンプを企画しているとのことです。全部で2週間、自然の中での生活を楽しむことはもとより、環境保全活動のためのデモ企画やプレスリリース、記者会見の方法まで学ぶことも計画しているのだそうです。
〈カムイミンタラ〉神々の遊び場
上の写真は、トーテムポールのように見えますが、実は日本の釧路市から贈られたアイヌの人の彫刻だそうです。釧路市とここバーナビー市が姉妹都市であり、姉妹関係締結25周年を祈念して贈られたもの、と記念碑に書かれています。
〈カムイミンタラ〉と呼ばれ、アイヌ語で〈神々の遊び場〉を意味するそうです。
「バーナビー山の佇まいに掲示をえて彫刻群(神々の遊び場)は生れた。これは日本の原住民アイヌと彼らを創造するため地上に降りてこられた神々の物語である。」
(記念碑に記された説明文より)
売るためではなく、分かち合うための野菜(コミュニティハウス)
その後、セント・メアリー教会と、隣接する「信仰の家」(FAITH HOUSE)を見学させていただきました。
この家は、行き場を失った若い家族や若者たちのために、住まいを提供する役割を果たしています。築100年近く経ったような家を修繕しながら、年に数人が入れ替わりつつ暮らしているようです。
このプログラムの担当者であるキャメロンもこの家の住人の一人でした。
信仰の家の庭(Faith House Garden)では野菜を栽培しています。
「売るためではなく、分かち合うための野菜」(This food is not for sale. This food is for sharing.)という言葉を掲げながら、様々な野菜を無農薬で育てています。
収穫した野菜の一部は販売し、その収益の半分を次の栽培のための種子や苗の購入費に充て、残りの半分は、教会組織を通して、飢餓に苦しむ人達を支援する活動に寄附しているそうです。
この日は私もレタスやトマト、きゅうり、ジャガイモを収穫させてもらいました。
バンクーバーの土地柄もあるのでしょうが、こうしたコミュニティ・ハウスや教会を訪れると、必ずと言っていいほど庭で野菜が栽培されています。「分かち合うための野菜」の栽培を、教区の環境保全活動(サラル&シダー・コミュニティ)の一つとして位置づけ、さらなる展開を目指しているようです。