「くじらぐも」を演じる日系移民小学生〈世界の日本語学校から〉カナダ・バンクーバーで日本語教師ボランティア

バンクーバー日本語学校・小学2年生クラス

毎週土曜日、バンクーバーのダウンタウンにある日本語学校では授業が行われています。通ってくるのは日系移民の子どもたち。日本語が第一言語と思われる子もいれば、おそらく英語のほうが強いだろうなという子もいます。言語スキルではなく学年によってクラス編成がなされています。1クラスはおよそ15人。

 

 

週に1回の授業で、およそ50分×3コマ。全時間を国語に費やしますが、それでも2年で日本の小学校の1年分の学習をします。カナダは今が学年末。従って、だいたい1年生の80字の漢字をひと通り学習し終えた段階に当たります。ただ、すらすら読み書きできる子もいれば、漢字はほとんど読めない子まで様々。そういう子どもたちを先生が上手にまとめて行かれます。

 

 

学習発表会の練習「くじらぐも」

5月下旬に行われる学習発表会の練習として、今日は『こくご 1年生・下』(光村図書)の教科書の「くじらぐも」の朗読をしました。物語に合わせた簡単な動きもつけて、一生懸命練習しています。一人につき1〜2回のセリフが回ってきますが、みんな家でしっかり練習してきているようで、完璧に言うことができていました。

 

 

JAPAN FOUNDATION 国際交流基金ポスター

教室内に掲示されている、学習ポスター。

 

子どもの絵

こちらも教室内に掲示されています。授業の合間にお絵描きが好きな子どもたちが自由に描いたものです。

 

 

カナダ現地の小学校では子どもたちが日本に比べて自由に過ごしているそうです。カナダに移民として暮らしている先生によれば、子どもが勉強に集中していなければ、「またやりたくなったらやればいいよ」というようなスタンスで接するとのこと。

そういう空気が、このクラスの子どもたちからも多少感じられることもありました。挨拶や授業の進め方は日本式ですが、子どもたちはカナダ式で慣れているようで、水筒についたストローをくわえながら小テストに臨んだり、おもちゃのコマを手でいじりながら先生の話を聞いたり。それでもやることはきちんとこなし、学習内容も身についているようですので、これはこれで「あり」なやり方なんだろうなと思います。私は日本の管理教育的なクラスづくりには首を傾げながらも、自分が授業をするときにはついそういう空気にしてしまうので、この教室の雰囲気は新鮮に感じられました。

固定観念から解き放たれて視野を広げる意味では、とても貴重な経験をさせてもらっていると思います。