バンクーバー・聖ミカエル教会の多文化性(St. Michael’s Multicultural Anglican Church)

聖ミカエル多文化教会/カナダ聖公会ニューウェストミンスター教区

バンクーバー・イーストブロードウェイにある聖ミカエル多文化教会を訪れました。

多文化教会(Multicultural Church)の名が表すとおり、信徒のほとんどを移民が占める教会です。ただし、9割以上がフィリピン北部出身者(イゴロット)。

日系移民の聖十字教会、中華系の多い聖ヤコブ(ジェームス)教会と並んで、バンクーバーの聖公会の中でも多文化度が高い教会と言われています。

牧師さんもフィリピン出身者とのことですが、この日は出張中で、代わりの方が司式・説教をされていました。

 

入り口頭上にはイエス像。

 

洗礼盤のあるところにも美しいステンドグラスが。

 

母の日パーティーとフィリピン人

そして、この日(5/14)は母の日であったため、会館で簡単なパーティーが催されました。

 

 

日曜学校には子どもの部と青年部があるらしいのですが、それぞれ10人ほどが通ってきていて、若さゆえに活気ある教会の印象でした。

フィリピン出身の子どもたちはフィリピンでも日本でもカナダでも、同じような振る舞いを見せてくれます。走り回ってケンカして泣いて、でも歌や踊りのプレゼンテーションは恥ずかしがらずにやってのけて拍手喝采を奪う。そういう民族性なのでしょう。

 

新来フィリピン人と古くからの「白人」カナディアン

この教会には日本人も3人ほど在籍しているとのことで、そのうちのお一人が今日はオルガニストでした。長くフィリピンにもお住まいだった方で、数年前からバンクーバーに引っ越して来られたそうですが、彼女いわく、「フィリピン人はどこ行ってもおんなじだよね〜。私はカナダに来て性格とか行動の面で影響を受けたような気がするけど、かれらはウェスタナイズされない(笑)。」 確かにそんな気がしました。

 

ただ、ここは歴史の古い教会なだけに昔から通ってきているいわゆる「白人」カナディアンの高齢信徒さんと、2,30年前から移民してきたニューカマーのフィリピン人信徒の方々との間には、もちろん色々とあるそうです。しかし、「摩擦」が起こるからと移民政策に反対する世論が一定数あるなかで、こうして相手と向き合ったり距離をとったりしながらなんとなく共存しているところに、カナダ社会の懐の深さを感じました。

 

ところで、上記の「フィリピン人」「白人カナディアン」というカテゴライズ。自分で用いながら、その言葉に違和感もおぼえています。各人が何かしらの同胞意識や仲間意識を抱いているとは思いますが、一方で何を根拠にその人を「〜人」と呼ぶのか?明確な定義は存在していないと思います(国籍さえ複数もつ人と無国籍の人といますから)。

 

だからと言って「人類皆きょうだい。友情に国境なんてない!」とかそういう簡単な話でもない。仮にそれが万人に受け入れられたら、昨今の世界を席巻する排外主義の高まりは起こり得ないでしょう。Imagineを歌ったジョン・レノンや忌野清志郎は、この世相をどう見るでしょうか。

 

複雑で危ういこの問題を、カナダに滞在している間に深く掘り下げようと思います。