それは、最も効率のよい人材の適材適所を実現するためです。
NPOセクターで耳にしない日はない「人手が足りない!」という悩み。
しかしそれでも、その非常に限られた経営資源のなかで、最大の社会的インパクトを出すことがNPOのミッションです。嘆いているだけでは時間とお金と人が減っていくだけで、何も良くなりません。
貴重な人的資源を最もうまく配置し、同時に働いているスタッフ自身もハッピーになるためには、人材の適性を正しく判断することは避けて通れない道です。
では、どうすればいいのか?
そのヒントになるのが、世界中で1700万人以上のプロフェッショナルたちが受けてきた「ストレングス・ファインダー」という診断です。
英語版の本著は発行後10年を経た今も、北米カナダの書店で平積みにされていた。イーロン・マスクの本といっしょに。
ストレングス・ファインダーとは?
日本で累計50万部、アメリカでは200万部を超えているベストセラー作品「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0」をご存知でしょうか。
この本に付属するコードを入力すると、「ストレングス・ファインダー」という自分の強みを診断するサービスを1回だけ受けることができます(なので中古本には要注意)。
*日本語版の装丁は英語版とくらべてちょっとダサいですが・・、もちろん内容は同じです。
具体的には、インターネット上で177の質問に直感で答えて、34個の資質の中から自分がもっともよく当てはまる「強み(ストレングス)」を5つ発見し、教えてもらえる仕組みです。
この「ストレングス・ファインダー」が「ほんとにすごい!当たりすぎて気持ち悪い・・」と、巷でも長く評判になっています。
たとえば・・・
自分の強みが分かる「ストレングスファインダー」をやってみたら気持ち悪いくらい当たっていた(イケダハヤトさん)
アメリカのAmazonでは、発売10年以上たったこの本が、いまだに「ビジネス・マネジメント&リーダーシップ」分野で5位にランクインしています。
そのレビュー数にいたっては、3,286件・・。(2017年10月現在)
日本のアマゾンでも、「ビジネス実用本」部門で4位。「嫌われる勇気」と接戦を繰り広げています。
診断の結果
わたしは、カナダのトロント大学で受けている「Non-Profit Leadership, Strategy & Change(NPOリーダーシップ、戦略と変革)」というコースでこの本を紹介され、授業の一環として「ストレングス・ファインダー」を受けました。
それで出てきた結果を見て・・、たしかに当たってますね。。
最上志向
優秀であること、平均ではなく。これがあなたの基準です。平均以下の何かを平均より少し上に引き上げるには大変な努力を要し、あなたはそこに全く意味を見出しません。平均以上の何かを最高のものに高めるのも、同じように多大な努力を必要としますが、はるかに胸躍ります。
自分自身のものか 他の人のものかに関わらず、強みはあなたを魅了します。真珠を追い求めるダイバーのように、あなたは強みを示す明らかな徴候を探し求めます。生まれついての優秀さ、飲み込みの速さ、一気に上達 した技能――これらがわずかでも見えることは、強みがあるかもしれないことを示す手がかりになり ます。そして一旦強みを発見すると、あなたはそれを伸ばし、磨きをかけ、優秀さへ高めずにはいられません。あなたは真珠を光り輝くまで磨くのです。
このように、この自然に長所を見分ける力は、 他の人から人を区別していると見られるかもしれません。あなたはあなたの強みを高く評価してくれる人たちと一緒に過ごすことを選びます。同じように、自分の強みを発見しそれを伸ばしてきたと思われる人たちに惹かれます。
あなたは、あなたを型にはめて、弱点を克服させようとする人々を避ける傾向があります。あなたは自分の弱みを嘆きながら人生を送りたくありません。それよりも、持って生まれた天賦の才能を最大限に利用したいと考えます。その方が楽しく、実りも多いのです。そして意外なことに、その方がもっと大変なのです。
特にこの「自分の強みを発見しそれを伸ばしてきたと思われる人たちに惹かれます」という部分。
たしかにそうなのです。イチロー選手だったり村上春樹さんだったり、異端や頑固者扱いされてきたひとが我が道を行って、最終的に世界最高峰にたどり着いたりしている姿をみると、無条件にかっこいいと思えてくるのです。
おもしろいですね〜。
ちなみに、上位5つの強い資質はこんなふうになりました。
1.最上志向
個人や集団の卓越性を高める手段として、強みに注目します。優れたものを最高レベルのものに変えようとし ます。
2.未来志向
未来と未来にできることを心に描くことで、ひらめきを得ます。未来についてのビジョンを語ることで、人々にエネルギーを与えます。
3.達成欲
並外れたスタミナがあり、旺盛に仕事に取り組みます。自分が多忙で生産的であることに、大きな満足感を得ます。
4.学習欲
学習意欲が旺盛で、常に向上を望んでいます。結果よりも学習すること自体に意義を見出します。
5.自己確信
自分の能力と判断力に自信を持っています。まるで、自分が正しい方向へ進んでいることを教えてくれる羅針盤が体内に備わっているかのようです。
なんだか後半は若干ディスられているような気がしないでもないですが(笑)、まぁでも事実かもしれないですね。
いやしかし、学習すること自体よりは、結果に意義を見出す人間になりたいものです・・。
NPO ✕ ストレングス・ファインダー
上述したとおり、人手不足があたりまえのNPOセクターにおいて、人材の有効活用は最大の課題。
「ひとを育てる」というより、「既にいるひとの強みをいかす」ほうが効率的にも、スタッフの勤労満足度的にも、優れているという考え方です。
NPOに限らず、企業や行政などすべてのセクターに当てはまるからこそ、このストレングス・ファインダーが世界で類を見ない評価を受けているのでしょう。
なかんずく、経営資源のもっとも限られているNPOなら、この考え方を利用しない手はない。
というか、利用しないで「人手が足りない」「人材が育たない」と嘆いていてもしょうがないと思うのです。
それより、今すでにいる人材を最大限有効活用する手を考えてみるのは、いかがでしょうか。
たった1,944円くらいでそのスタッフも、NPO経営陣も、そして何より受益者のひとたち(ホームレスの方、貧困にあえぐ子ども、権利を制限された障害をもつ人たちなど・・)が1ミリでも幸せになれば、それがベストではないでしょうか。
Win-Winというより、三方良し、関係者みんながハッピーになるために、「活かすべき強みはなにか」を探してみることを提案したいと思います。
1,900円が払えないくらい経営が厳しいNPOなら、なおさらいま1,900円を払って、よりよい経営を目指されるべきかもしれないですね。
少なくとも、私はやってみてよかったと思います。
この記事をお読みのNPOスタッフの方も、一度まずはご自身で試されてみてはいかがかなと思います。
とくに、将来のキャリアについて、漠然とした不安を抱えている方。
「いまの立場がほんとうの自分があるべき場所なのか?」いちどじっくり考えてみるきっかけになるかもしれません。
もちろん経営者の方なら、スタッフの方たちのためにも、なおさら。まずはご自分で。
診断は20〜30分程度で終わりますので。
さいごに、この本の中から一つの言葉をご紹介したいと思います。
You cannot be anything you want to be — but you can be a lot more of who you already are.
引用:StrengthsFinder 2.0 by Tom Rath
「なりたいものに何でもなれるかと言えば、そうではない。しかし、あなたは、今よりもっと自分らしくあることはできる」。(抄訳)
*古本を買ってしまうと「ストレングス・ファインダー」を受信するためのコードがおそらく付属してきませんので、新品での購入をおすすめします。
以上、「NPO職員がストレングス・ファインダーをするべきたった1つの理由」についてお伝えしました。