文部科学省は、「日本語指導が必要な児童生徒数」をおよそ2年ごとに調査しています。
最新調査である2016年度のデータをもとに、「日本語指導が必要な児童生徒」が在籍する学校[1]における1校あたりの該当児童生徒数を都道府県別に算出し、グラフにしました。
[1] 学校=小学校、中学校、高等学校、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校を指す。
出典:日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(文部科学省、平成28年度)をもとに筆者が作成
上のグラフに示したとおり、愛知県が1校あたり7.87人と最多です。
一方、赤い枠で囲んだ(下位から)山形県、鳥取県、高知県、鹿児島県、大分県といった各県には、1校あたり2人以下しかいません。これはつまり、その地域の半数以上の学校においては、日本語指導が必要な児童生徒が1人しかいないということを意味しています。
「外国人の子どもの散在地域」と言えるでしょう。
(下の表は、上掲のグラフを作成した際の元データです)
出典:日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(文部科学省、平成28年度)をもとに筆者が作成
日本語指導が必要な子どもがバラバラの学校に在籍していると、日本語教育に関する知見をもった教員を配置することが難しくなります。
たとえば愛知県のように、多い学校では日本語指導が必要な児童生徒が100人以上も在籍しているような地域だと、加配の先生をつけたり、通訳者をつけたりすることも十分できるようになります。
一方、山形県のように、ほとんどの学校には該当する児童生徒が1人しかいないという地域だと、なかなかそこに予算を回すことも難しくなります。[2]
[2] 文科省は『外国人児童生徒等に対する日本語指導の充実のための教員配置』として次のような指針を示しています。
「従来、外国人児童生徒等教育を担当するための教員を加配定数により予算の範囲内で措置してきたが、 法律を改正し、特別の教育課程により日本語指導を行う児童生徒18人に対し1人の割合で教員定数を確実に措置できるよう、平成29年度から10年間で段階的に基礎定数化を図ることとした。また、基礎定数化後においても、散在地域に対応するため、現在の1割程度の加配定数を引き続き措置することとしている。
参照:『外国人児童生徒等教育の現状と課題』(文部科学省、平成30年)
散在地域に対応するための措置はある程度あるものの、それでも日本語指導が必要な子がたった1人だけの学校では、その子は日本語がよくわからないまま、十分な助けを得ることもなく教室に座り続けることを余儀なくされます。
これがいかに辛いことか。
辛いだけでなく、子どもの教育を受ける権利を侵していることになります。
もちろん、行政には予算の限界があります。でもお金がない、人がいないと嘆いていても仕方ありません。子どもは日に日に大切な学びのチャンスを奪われ続けていきます。
たとえば、民間のNPOの力を借りるとか、ITを活用するとか、学校にやれることはまだまだあるはずです。
NPO青少年自立援助センター(YSCグローバル・スクール)ではインターネットの力をつかってリアルの日本語教室と遠隔地をつなぐオンラインクラスを開講しています。
NICO Project にほんご×こどもプロジェクト – https://www.nihongo-kodomo.net/
もし、この記事をお読みのあなたの身近に、日本語がわからないまま誰の支えも得られずにいる子どもがいたら、この「NICOプロジェクト」を紹介してあげてください。
また、「こういう働きは大事だから応援したい」という方は、寄付で参加するという方法もあります。現金だけでなく、たとえばTポイントを使って寄付することもできます。(クレジットカードでも可)
Yahoo!アカウントをお持ちなら、1〜2分ほどの所要時間で子どもたちにTポイントを贈れます。(キャンペーン中はTポイントが2倍の金額に換金されて贈られます。たとえば50ポイントあれば100円が寄付されます)
Yahoo!のページ: https://donation.yahoo.co.jp/detail/1630040/
その子の話す言葉が何であろうと、住んでいるところがどこだろうと、「みんなと同じように勉強したい」という願いは叶えられてほしいと思います。
知り合いに外国人の子はいないし、Tポイントもないけど、1人でも子どもが勉強できるようになったらいいなと願ってくださる方は、この記事をSNSでシェアしてくださると嬉しいです。
それを見た他の方が、じつは困っている子が身近にいてこのオンライン教育を紹介してくださるかもしれないし、あるいはTポイントを少し子どもたちのために分けてくださるかもしれないので。
みんなで、子どもが夢を少し叶えやすくなる社会をつくっていければ幸いです。