岐阜県青少年保護育成条例事件(最判平元.9.19)|わかりやすい憲法判例|人権:未成年者の人権

判示事項

有害図書の自動販売機への収納を禁止処罰する岐阜県青少年保護育成条例の規定は、表現の自由を保障する憲法21条1項に違反しないか?

 

→ 違反しない 

理由

有害図書が一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に悪い影響を及ぼし、性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮の助長につながるものであつて、青少年の健全な育成に有害であることは、既に社会共通の認識になっているといってよい。

さらに、自動販売機による有害図書の販売は、売手と対面しないため心理的に購入が容易であること、昼夜を問わず購入ができること、収納された有害図書が街頭にさらされているため購入意欲を刺激し易いことなどの点において、書店等における販売よりもその弊害が一段と大きいといわざるをえない。

 

しかも、自動販売機業者において、前記審議会の意見聴取を経て有害図書としての指定がされるまでの間に当該図書の販売を済ませることが可能であり、このような脱法的行為に有効に対処するためには、本条例六条二項による指定方式も必要性があり、かつ、合理的であるというべきである。

 

そうすると、有害図書の自動販売機への収納の禁止は、青少年に対する関係において、憲法二一条一項に違反しないことはもとより、成人に対する関係においても、有害図書の流通を幾分制約することにはなるものの、青少年の健全な育成を阻害する有害環境を浄化するための規制に伴う必要やむをえない制約であるから、憲法二一条一項に違反するものではない。

 

裁判所サイト(参照・引用)

要旨:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50356

全文:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/356/050356_hanrei.pdf

 

 

参照法条

憲法21条1項, 岐阜県青少年保護育成条例6条1項, 岐阜県青少年保護育成条例6条2項, 岐阜県青少年保護育成条例6条の6第1項, 岐阜県青少年保護育成条例21条5号, 岐阜県青少年保護育成条例施行規則2条, 昭和54年7月1日岐阜県告示539号

 

ウィキペディア(Wikipedia

(記載なし)

 

『2020年版 出る順行政書士 合格基本書』

p.19 憲法 5〈人権〉在監者の人権・未成年者の人権