Collective Impact − Collective Fundraising 〈FRJ2017〉

 

「ソーシャルセクターはこれまでスモール・イズ・ビューティフルに縛られすぎた。でも、ノット・オールウェイズ(いつも正しいとは限らない)ということを頭においておきたい。」

 

 

鵜尾雅隆(日本ファンドレイジング協会)
深尾昌峰(京都地域創造基金)
大西健丞(ピース ウィンズ・ジャパン)
井上英之(INNO-Lab International)
白石智哉(ソーシャル・インベストメント・パートナーズ)

 

 

2017年3月19日に開催された「ファンドレイジング・ジャパン2017」のセッションを書き起こしたものです。

 

 

2017/3/19 FRJ2017 – Session 45

 

井上

感動とは「感じて動くこと」。

 

例えば、The Big Issue はどう変化を起こしているか?ホームレスの方に「自尊心を取り返してこの社会にもう一回戻って生きなおしてもらう」という働き。雑誌を売ることは、経済的収入。

 

収入→入居→住所を得る→職安に行ける

 

これが一つのセオリー・オブ・チェンジ

 

ある女性社長が、Big Issueを売り続けているおっちゃんに話しかけた。「雨の日も風の日も立って売り続けるあなたに感動しました。うちで働きませんか?」これは職業訓練を受けてからの就職、というストーリーではない。マインドの変化を含めた大きな変化。

 

コレクティブインパクトは対話である。行政・企業の人たちはどういう文脈(背景やマインド)をもつかを互いに知る。ロジックだけでない。“あなた”との間の利害関係はあるかもしれない。しかし、もっと大きな共通の利益を目指して、意図して変化を起こす。

 

 

深尾

地域では、生きていくことが困難になってきている。「お金ってすごいな」と思う。お金は関係性を作れる。地域はやれる、資源はいっぱいある。地域はお金がない?いや、いっぱいある。

 

ある超貧困家庭の金髪の男の子の話。その子はパンを万引きした。私が「子ども食堂行けば?」と言ったところ、「(子ども食堂がやっている)月曜だけメシ食えっていうのか?それより働かせろよ」と返してきた。その問いにどう答えるか?なぜ中学生は働いたらだめなのか?

 

休眠預金があるから大丈夫だって?だめだよそんなの。それをレバレッジにして、どう地域に資金循環を起こしていくか?それをつくっていこう。

 

 

白石

学生の頃、就職先をベンチャーキャピタルにしたいと思って、シリコンバレーで就活をした。そこから、だんだんプライベートエクイティへとキャリアチェンジしていった。

 

ベンチャーフィランソロピー:寄付で集めたお金を社会性のある事業にキャピタルと同じように投資すること。

 

社会性と事業性の両立。重要なテーマ。社会性がインパクトとして、ある程度、定量的なものとして、あるいは受益者がどうよくなっていくかという定性的なものとして、共通言語可してきている。しかし、まだ事業性が確立していない社会事業がある。

 

例えば、ある社会起業家が事業を進めてきたとしても、その人が引退したり、倒れたりした時に、事業ごと終わってしまう。個人商店のように。Panasonicにしても、最初は社会的な目的をもって始められている。法人は手段。しかし、やがて法人そのものを存続させることが目的化していく。そんな例がけっこうある。

 

一方で、社会事業をする人たちは、科学的な視点(例えばMBA)やファンドレイジング的な視野を持てないでいる。本来は同じところからスタートしているのに、人類の歴史を経て、だんだん乖離してしまった。いま、その2本の流れがまた1本になろうとしている。

 

 

大西

「オーバーヘッドコストは税引き後の利益と同じです、それを再投資したい」と銀行に説明して、億単位の金を銀行から引き出した。リスクを計算しながら成長を速める。

 

寄付の安定性も説明した。「売掛金に等しい」などと。銀行の貧しい視点にどさっとお金を預けて、支店長の評価を急激に上げたり(笑)。銀行の内状を把握しながら、交渉を進めている。

 

 

深尾

石投げられるようなこと(運動)がイノベーションになる。変人って変な人。でも変える人でもある。たとえば昔、女が高等教育を受けるなんて、と言われながら学校をつくっていった。それがイノベーション。

 

 

白石

社会性を意識しないと事業性もなくなる、というふうになっていくだろう。コア(KPI)をつきつめればつきつめるほど見えなくなる部分がある。(あのトヨタ自動車でさえも。)その見えなくなっているところを見えるようにするのがソーシャルセクターの役割であろう。

 

 

大西

共感の連鎖=物語をどう紡いでいくか(もちろん事実に基づいてですが)。人は物語に一番共感する。聖書を見てくれ。物語の連続だ。2000年のベストセラーだ。

 

エリート官僚たちを動かすには、やはり兆円単位の話を少し無理してでもしていくべきと思う。コンビニの年間売上は合計10.2兆円くらい。一方で、NPOの数はコンビニと同じく国内に5万ほどあるが、存在感はそんなにない。鵜尾さんが進められている10兆円寄付時代。ここが、日本を1番変えていける分野であろう。

 

ソーシャルセクターはこれまでSmall is Beautiful に縛られすぎた。でも、Not always ということを頭においておきたい。

 

 

 

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