カナダ・バンクーバーで8月6日に行われたLGBTQの祭典「Vancouver Pride Parede 2017」。多様性こそが強みだと主張する国カナダにおいて、バンクーバーに暮らす人々は、レインボーの道を歩きながら何を語ったのか。
そして、LGBTQのアライ(Ally = 味方)になることの意味とはどういうことか。
虹色の人たちの思いをレポートします。
学校でのLGBTQ
「わたしたちは、友だちを支えるためにここにいる」
学校で子どもがLGBTQであるとカミングアウトするということは、限りなく勇気のいることだと思います。
それが原因でいじめられて、あるいはそのことを恐れるあまり苦しんで、そして命を自ら絶つ子も少なくありません。
先生が、友だちが、「わたしたちは、あなたを支える」、「あなたの存在そのものを祝福したい」と公に語ってくれることが、いかに心強いか。
できるかぎり多くの人が、「わたしはLGBTQのひとたちのアライ(味方)だ」ということを公(おおやけ)に語り続けること。それが、性的マイノリティとして苦しみを覚えながら行きてきた人たちの支えとなりうるはずです。
LGBT難民
「LGBT難民 わたしたちはあなたの側に立つ」
LGBT難民、レインボー難民と言われる人たちがいます。
イスラム教国家などでは、同性愛者であるがゆえに法的に刑罰を科されることがあります。
そのような環境から脱するため、難民としてカナダに移住してくる人たちがいます。それがLGBT難民/レインボー難民です。
上の写真では、おそらくLGBTが違法とされる国の国旗を掲げている人々も更新しています。そのような国では「ハッピー・プライド!」(LGBTQの人たちが誇りをもって生きることを祝福する)と言うことが許されていない、という主張からか、口にはガムテープが貼れれていました。
LGBTQの人たちの家族
「トランスジェンダーの娘を愛している」
LGBTQの子どもや親をもつ人たち。様々な葛藤があることは想像に難くありませんが、いちばん身近にいる家族が「ハッピープライド」と言ってくれたら、当事者はどれほど安心することか。
「あそこのお宅のお嬢さん、男の子になっちゃったらしいわよ」
「あの子のお家には、お母さんが2人いるらしいよ」
周りで噂され、そういう目で見られることが、何よりも辛いだろうと思います。本人も、家族も。
にもかかわらず、家族が「あなたの存在を誇りに思う」と公言することは、きっと本人を少なからぬ苦しみから解放することでしょう。
企業とLGBTQ
パレードには企業もこぞって参加していました。もちろん宣伝効果を狙ったものではあります。しかし、カナダでは「LGBTQフレンドリー」企業であることは積極的に公表すべきポジティブな要素として受け取られていることも見て取れます。
AmazonやMicrosoftのような先進企業に限らず、銀行のような老舗であって信用が売り物のような保守的になりがちな企業でさえ、パレードに参加。
Amazon アマゾン
Microsoft マイクロソフト
Starbucks スターバックス
昔、環境保護を意識したグリーン企業であることが消費者へのアピールになりはじめた頃のように、もうLGBTQフレンドリーを公言しない企業は、生き残ることもできない世の中になっていくでしょう。
少なくともカナダはそのようになりつつある。
果たして日本は・・・?
金融大手ゴールドマン・サックス証券での取り組みを紹介したこちらの記事では、日本企業がこれからどのようにLGBTQフレンドリー企業への歩みを進めていけばいいか、良い例が示されています。
「私を動かしたのは素朴な感情でした」 ゲイだとカミングアウトを受けた上司が、彼にかけた言葉(BuzzFeed News)
アライであるということ
アライとは、わたしにとって聞き慣れない言葉でした。しかし、今では気に入っている重要な言葉です。
英語でAlly、すなわち協働者、同盟者、味方と言った意味です。
LGBTQの人たちのことを否定もせず、かと言って大げさに肯定するのでもなく、ただその人をそのまま受け入れること。
そして、それだけでなく、「わたしはLGBTQの方々の生き方を尊重します」と積極的に公言すること。
そういうふうにする人たちのことを「アライ」と呼びます。
(非当事者であることを明示するため「ストレート・アライ」と呼ぶこともあるようです)
組織の運営者である場合、あるいは一人の人として、アライであることを示すことでLGBTQの人たちが安心して生きていけるとしたら、私はそのような場をつくる者になりたいと思います。
そして、その考え方が広く社会に広まってほしいと願います。
写真でみるプライド・パレード
わたしたちはLGBTQ の側に立つ